現在の巡礼で当時からの伝統的な用途を保っている数少ないものです。
杖
昔、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向う巡礼者は、森へ行って耐久性のある栗の木やハシバミの木を探して杖を作りました。
現在では、カミーノを歩いている間に入手するか専門店やネットを通じて購入することができます。
3つ目の方法として、フランス人の道を歩くなら、エステージャ(Estella)という町を出たところでパブリート・デ・アスケタ(Pablito de Azqueta)という有名な人物に会うことができます。若い頃に巡礼をした彼は、カミーノを歩く巡礼者たちにアドバイスなどをしています。
杖を持つ人の身長よりも少し長めの杖を使うのが理想とされます。背中をまっすぐに保つことができ、長時間の巡礼を乗り切るための支えとなるからです。
歩行時の支えだけでなく、多くの巡礼者は杖に水を入れるひょうたんをぶら下げて使いました。 巡礼中、野生動物の攻撃から身を守るために使用されたことも忘れてはいけません。
現在は、ハイキングやトレッキングポールをスポーツ専門店で買う巡礼者がほとんどです。 大部分のトレッキングポールは、長さを調整できる上に、正しく体を支えてくれるように適応したグリップがついたものになっています。
しかし、いまだに1本の木の杖を持ってカミーノを歩く巡礼者も多くいます。昔の巡礼者と同じようにカミーノを味わうことができます。
ひょうたん
ウリ科に属すこのひょうたんは、アフリカでは紀元前12世紀から、その後アメリカ大陸で水や他の液体を運ぶ方法として使われていました。
十分な湿度と強い日照がある環境が必要です。そのため、ひょうたんの栽培には熱帯気候が理想的です。
ひょうたんは、非常に丈夫で耐病性があることから、性質の弱いすいかやメロンが丈夫に育つよう接ぎ木をするための台木として使われます。 はじめは、濃い緑をしているひょうたんですが、乾燥したり加工させるのが普通です。
プラスチックの使用が一般化される前、ひょうたんを水筒として使う巡礼者は中身を取り出し乾燥させる作業を行いました。 乾燥させて硬くなったひょうたんの皮は、水を冷たく保ち、杖にぶら下げて持つにはちょうどよい大きさでした。
巡礼路とのゆかりの深い、あのカール大帝は、薬や軟膏を作るために欠かせないひょうたんを栽培するように命じました。